京都市内を流れる堀川の八重桜がただいま満開です。
堀川は2009年に完了した堀川水辺環境整備事業によって清流が復活すると共に、以前の川床には遊歩道が整備され、それに沿って八重桜の並木が続いています。
隠れた桜の名所、堀川の遊歩道を散歩しながら、遅咲きの八重桜を見物するのもなかなかオツなものです。
なお、この記事内の画像はクリックすると拡大表示されます。ぜひ大きな画像で満開の八重桜をお楽しみ下さい。
堀川の桜並木 多彩な八重桜
堀川には二条城がある御池通から、晴明神社に近い一条通にかけて川床に遊歩道が整備されており、それに沿って八重桜の並木が続きます。
花見のシーズンを終えた4月中旬に、白やピンクの多彩な八重桜が遅咲きの花を咲かせます。
また、堀川は花見の名所のように桜一色というわけではなく、緑も豊富です。周りの柳や松と八重桜がうまく調和し、緑とピンクの美しいコントラストを作り出しています。
竹屋町橋のたもとにあるピンク色の見事な八重桜です。その後ろには珍しい緑色の桜が咲いています。
堀川の桜 御衣黄
この緑色の桜は「御衣黄(ぎょいこう)桜」と呼ばれる珍しい桜です。
その名の由来は貴族の衣服である萌黄色に近いため、そう呼ばれるようになりました。元々京都の仁和寺で栽培されたのが始まりと言われています。
花と葉が同じ緑色なので、少し離れて見ると花が咲いていてもわかりませんね。
御衣黄桜は咲いてから散るまでに色が変わっていきます。咲き始めの緑色から少しずつ赤みを増し、散るころにはかなり赤くなります。
また、場所や時期によっても色が違います。これは同じ堀川にある御衣黄桜ですが、緑ではなく白っぽい花が咲いています。
堀川の桜はピンク色の「カンザン(関山)」という種類が一番多いのですが、それ以外にも様々な桜が咲いています。
堀川の遊歩道を散歩する
以前の堀川は川底一面コンクリートの殺風景な川でしたが、現在は押小路橋から元誓願寺橋の間に遊歩道が整備されています。
堀川のせせらぎと共に川辺を散歩したり、ベンチに腰掛けて休憩したり、みなさんのんびりと過ごしています。
この遊歩道の脇には石垣が整備されていますが、二条城付近の西側にある石垣は歴史が古く、二条城築城に伴い1603年頃に築かれたものだそうです。
石垣には所々に石垣普請の受け持ち分を示す大名の刻印が刻まれています。
堀川の遊歩道では、こんな感じで桜を見上げながら散歩することになります。
遅咲きの八重桜を見ながら散歩するといい気分転換になりますよ。
遊歩道は場所によっていろいろ変化があるので、散歩してても飽きません。随所にスロープや階段があるので、遊歩道と上の行き来も容易です。
疲れたら桜の樹の下でちょっと一服しましょう。桜がこんなに見事に咲くのは、桜の樹の下に屍体が埋まっているからかもしれませんよ・・・梶井基次郎の「檸檬」にそんな一節がありましたね。
堀川の歴史と八重桜
堀川は京都市内を南北に走る堀川通に沿って流れる川で、その歴史は平安京まで遡り、約1200年の歴史があります。元々は運河として開削され、物資の運搬のほか、貴族の庭園に水を引くためにも用いられたと言われています。
上の画像は案内板に掲載された以前の堀川の様子ですが、京都人にとって堀川といえば、右側の側溝みたいなイメージしかありません。
堀川は昭和20年から30年代にかけて行われた浸水対策事業により、川らしい姿を失いコンクリートで底張りされた水路になってしまいました。
左の画像は昭和36年撮影で、京都市電北野線が写っていますね。京都の着物産業全盛の当時は、堀川で友禅染を洗う姿がよく見られたそうです。この頃の堀川には桜の木はなかったようですね。
そして現在の堀川ですが、2009年に完了した堀川水辺環境整備事業によって、水の流れがよみがえると共に水辺の整備が行われ、春には桜を見ながら散策もできる遊歩道が整備されました。
整備後の堀川では、このように美しい八重桜がたくさん花を咲かせています。ここはルビノ京都堀川付近ですね。
京都には桜の名所がたくさんありますが、八重桜を見上げつつ散歩できるのはここだけでしょう。堀川通からは見えにくいのでなかなか気づきませんが、機会があればぜひ堀川の遊歩道に降りて散策してみてください。
堀川の八重桜 アクセス
八重桜のある堀川通は、バスがたくさん走っているのでアクセスは容易です。
京都駅からバスで行くなら、市バスの9系統か50系統に乗って、二条城前または堀川丸太町のバス停で下車してください。
京都駅から二条城までは、およそ15分程度で到着します。地下鉄東西線の二条城前駅もアクセスに便利です。
英語版記事: Cherry Blossoms in Kyoto: Yaezakura on Horikawa River
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