祇園祭の山鉾巡行で、雨が降った時の様子をご紹介します。
台風11号の接近で実施が危ぶまれた2015年祇園祭前祭の山鉾巡行ですが、一夜明けると台風の影響はそれほどでもなく、予定通り7月17日に前祭の山鉾巡行が行われました。
とはいえ、巡行が始まっても雨は止まずに降り続き、悪天候の中での山鉾巡行になりました。
祇園祭前祭 台風の影響
2015年の祇園祭前祭は、いきなり台風11号の接近というアクシデントに見舞われました。
宵々山までは何とか大丈夫だったのですが、台風が間近に接近した前祭宵山の夜は強い風が吹き、提灯や懸装品は鉾から取り外されてしまいました。
余程のことがない限り決行される山鉾巡行も、さすがに今年は中止かなと思ったのですが、台風がうまく逸れてくれたおかげで風もおさまり、17日の午前5時に実施が決定されました。
しかし、巡行の時間になっても雨は止むことなく降り続き、悪天候の中での山鉾巡行になりました。まあ、中止の場合は延期もされないとのことなので、雨でも巡行があるだけマシですよね。
祇園祭前祭の山鉾巡行 2015年
2015年祇園祭前祭の山鉾巡行は、総勢23基の鉾で行われます。昨年の2014年から、およそ50年ぶりに山鉾巡行が前祭と後祭に分かれたので、前祭巡行は23基、残りの10基は24日の後祭巡行に登場します。
2015年の祇園祭前祭の巡行は、くじ取らずの長刀鉾を先頭に、孟宗山→芦刈山→伯牙山→函谷鉾→油天神山→四条傘鉾→占出山→月鉾→蟷螂山→木賊山→山伏山→菊水鉾→郭巨山→綾傘鉾→太子山→鶏鉾→白楽天山→保昌山→霰天神山→放下鉾→岩戸山→船鉾と続きます。
2015年祇園祭 前祭と後祭の日程・巡行する鉾についてはこちらを参考に・・・
先頭の長刀鉾は午前9時に四条烏丸を出発します。そこから四条、河原町と進み、御池通に入るのが11時前ぐらい。雨の御池通にはカッパと傘がズラリと並んでいます。右端に長刀鉾が見えますね。
有料観覧席の方々はカッパを着て巡行見物です・・・が、こんな雨じゃ3,180円の価値はないかなぁ(^^;
ちなみに有料観覧席は晴れても大変で、木立の影になる南側はともかく、北側の有料観覧席は真夏の日差しが直撃するので、巡行が終わる頃にはみんな日陰に退避してしまいます。どうしても山鉾巡行を近くで見たいと言うなら南側をオススメします。
雨の山鉾巡行 長刀鉾
さて、トップバッターの長刀鉾がやってきました。前懸や胴懸には豪勢なペルシャ花文様絨毯や中国玉取獅子図絨毯、インド絨毯が用いられ、見送や水引も豪華なのですが、雨降りの今回はシートで覆われています。
雨の山鉾巡行 函谷鉾
長刀鉾から孟宗山、芦刈山、伯牙山と続いて、やってきたのは函谷鉾です。「函谷鉾」という名称は、斉の孟嘗君が函谷関にさしかかったとき、家来に鶏の鳴声をまねさせて関門を開かせ、難を逃れたと言う故事にちなんでいます。
函谷鉾の曳き手衆です。雨具がないので、雨に濡れて大変です。雨の日の曳き手は楽じゃない・・・
雨の山鉾巡行 油天神山
続いてやってきたのは・・・油天神山でしょうか。いつもは朱塗りの鳥居と菅原道真ゆかりの紅梅が祀られているのですが、今回は真木の松だけです。前懸、胴懸も黒い幕に覆われて見えません。雨だから仕方ないとはいえ、これじゃ何だかわかりませんねぇ。
雨の山鉾巡行 四条傘鉾
お次は赤い傘と共に四条傘鉾がやってきました。この鉾は応仁の乱以前に起源を持つ歴史ある鉾ですが、明治4年以降から途絶えていた傘鉾です。
昭和60年から114年ぶりに祇園祭に復帰し、その3年後に踊りと囃子が再現されて山鉾巡行にも参加するようになり、祇園祭に完全復興しました。
雨の山鉾巡行 占出山
占出山です。いつもは右手に釣り竿を、左手には釣糸の先の釣り上げた鮎を持ち、金の烏帽子を被って太刀をはいた神功皇后が御神体として祀られているのですが、雨天時は主役不在のようです。
前懸は日本三景の宮島、胴懸は松島と天橋立をモチーフにした綴錦が用いられています。
雨の山鉾巡行 月鉾
月鉾がやってきました。三日月の鉾頭は25mもの高さで、御池通のビルやマンションにも引けを取りません。
月鉾は祇園祭の鉾の中で、最も大きくて重い鉾です。装飾も細部に至るまで見事な出来栄えで、動く美術館とも言われています。
左甚五郎作といわれるうさぎの彫り物や、円山応挙作の金地彩色草花図、前掛は17世紀のインドからやってきたムガール王朝製のメダリオン緞通など、月鉾には動く美術館の名に恥じない逸品が揃っています。
屋根方のみなさんは電線・電柱・民家の屋根と接触しないように調整するのが役目です。屋根の上なので雨を遮るものはありません。冷たい雨の中、屋根方は大変ですね。
雨の山鉾巡行 蟷螂山
蟷螂山がやってきました。蟷螂山の名称は「蟷螂の斧を以て隆車の隧を禦がんと欲す」という中国の故事にちなんでいます。
いつもはコミカルな動きで歓声を浴びるカマキリギミックも、雨降りの今回はシートに覆われて可動せず、前懸、胴懸、見送も普段とは違う代用品になっています。
雨の山鉾巡行 木賊山
こちらは木賊山です。謡曲「木賊」にちなみ、我が子を人にさらわれて信濃国伏屋の里で木賊を刈る翁をモチーフにしています。台風の影響を嫌ってか傘はありませんが、木賊を刈る翁はちゃんと見えています。
雨の山鉾巡行 山伏山
山伏山です。御神体は天台宗の僧である浄蔵貴所で、修験者として大峯山へ入る際の姿を表しています。左手に刺高数珠を、右手に斧を持ち、腰には法螺貝をつけています。
浄蔵貴所は12才で宇多法皇の弟子になり、熊野金峯山や比叡山を巡って苦行を積みました。その時に身につけた法力で、傾いた八坂の塔を元に戻したり、亡くなった父親の三善清行を一条戻り橋で蘇生させるという伝説を残しています。
それ以来、死者が蘇らないように葬列や霊柩車は一条戻り橋を避けるようになったそうです。
これで山鉾は半分ぐらいです。まだまだ巡行は続きますが、平日なので仕事に戻りました。
祇園祭山鉾巡行 カラフルな雨傘
2015年の前祭山鉾巡行は、台風11号の影響で雨傘行列になりました。歴史ある祇園祭だけに、雨傘も鉾によってそれぞれ違うスタイルがあるようで、普段の山鉾巡行では見られないカラフルな雨傘がたくさん登場します。
傘の形や色は鉾によってそれぞれ違い、和傘やビニール傘、鉾の名前入り、ロゴ入りの傘があるかと思えば、傘をささずに三度笠を被って巡行している鉾もあります。
山鉾巡行後の懸装品修復
巡行中ずっと雨だったとはいえ、台風11号の影響はそれほどでもなく、前祭の山鉾巡行は無事に終了しました。普段は巡行が終わった後もしばらくは賑やかなのですが、今年は雨なのであっという間に人が引いてしまいました。
ちなみに、10年前の山鉾巡行も今回と同じような大雨で、濡れてダメージを受けた懸装品などの修復に3億円かかったそうです。
修復費用の分担は国が半分、鉾町が半分となっているので、大きな鉾がある地元の皆さんはホントに大変だったと思います。今回の巡行は懸装品をシートで覆ったり、御神体を引っ込めるという対策が取られているようですね。
雨の祇園祭っていろいろ大変だなぁ(^^; まあ、後祭は好天に恵まれることを祈りましょう。
以下は祇園祭に関する記事一覧です。宵山や山鉾巡行の見どころを紹介しています。
